2021 年 28 巻 2 号 p. 75-81
本研究は異なる性周期におけるファン付き作業服の効果について検討した。被験者は21歳から23歳の11名の女性であった。被験者は室温28℃、相対湿度60%のコントロール室に入室した。実験前室で測定が行われた後、被験者は実験本室(室温35℃、相対湿度60%)へ入室し、精神作業を行った後に再び測定された。各被験者の皮膚温度は身体7部位にて測定された。また、温熱的快適感の評価にはVisual Analog Scale を用いた。ファン付き作業服有条件では作業服を着用し、ファン付き作業服無条件では作業服を着用しなかった。 以上の実験は卵胞期と黄体期にて行われた。本実験の結果、黄体期において腹胸部と前額の皮膚温が作業服無条件に比べ作業服有条件で有意に低下した。また、温熱的快適感も黄体期の作業服有条件で作業服無条件よりも有意に高い値を示した。以上より、暑熱環境下におけるファン付き作業服による空冷効果は卵胞期より黄体期で高くなることが示唆された。