本研究は新しい車椅子クッション開発のため、材料と仕様の異なる14種類の試験体を用いて、心理評価実験と体圧分布測定を行い、クッション材の座り心地評価の新たな指標化を試みた基礎研究である。試験体には新たに開発したクッションとして、素材の異なる複層クッション材と、底板付きクッションを含めた。心理評価実験ではSD法を用いて、健康な男女20名の被験者に12項目の心理評価を依頼した。体圧分布測定は帯域を20mmHg毎に設定し、それぞれのクッションの全体面積・最大圧力・平均圧力を測定した。これまで一義的にしか捉えてなかった体圧分布測定を、クッションの各帯域面積を考慮して求めることができた。その結果、体圧分布と5種類の心理評価の間で強い相関が見いだされた。次に心理評価実験と体圧分布測定の結果から、重回帰分析により全体面積・最大圧力・平均圧力・各帯域面積を説明変数とした座り心地評価の予測のための重回帰式を導出した。