本研究の目的は、対馬の群倉の配置と冬季の集落小気候との関係を検証することである。対馬の鰐浦集落において、2019年の冬季に小気候観測調査を行った。鰐浦集落の北部には、150棟以上のコヤからなる対馬最大の群倉が形成されている。群倉の立地条件として風環境への適応を優先的に考慮した場合、冬季に風上となり風速がそれほど強くない集落南部や東西方向の谷筋が好適地であることが明らかになった。強風域にもかかわらず集落北部に群倉が形成されたのは、風上となるだけではなく、居住地と耕作地との中間地点にあたるためであると考えられる。群倉エリアの中心部や群倉の南側のベードコでは、防風効果が現れることが明らかになった。