本研究では高濃度と低濃度でにおい質が変化する物質であるスカトールを用いて、におい質が変化する濃度を明らかにすることを目的に検討を行った。スカトールに対し、一般的な検知閾値を有するパネルに、試料保存瓶に液体スカトールを入れたサンプルを配布し、蓋を開けたときのヘッドスペースガスを評価させた。結果、物質濃度 10-6.7 で不快度 -1 以下となり、明確に不快側を示した。また、各物質濃度間のにおい質の類似性をパターン類似率に基づいて検討した結果、10-6 と 10-6.5 の平均値プロフィールがパターン類似率 0.880 になり、におい質の変化の目安である 0.9 を下回った。さらに、スカトールのにおい質の特徴である「刺激的な − 穏やかな」、「好き − 嫌い」の評価は 10-6.5 より高濃度になると、穏やかでも刺激的でもないやや嫌いからやや刺激的で嫌いへと変化した。以上の結果から、スカトールのにおい質が変化する物質濃度は、10-6.5 であると推察された 。