抄録
皮膚含水率は、夏期に高く冬期に低くなる年変動特性を持つことが示されてきている。同様に皮膚の肌理(きめ)細かさも年変動特性を持つことが考えられる。一方で、皮膚含水率や肌理の年変動を明らかにするためには、手洗いや入浴といった生活行為の中での短周期の濡れの影響の把握した上で年変動の測定が必要である。本研究では、皮膚の濡れがその後の含水率変化に及ぼす影響を調べるため、皮膚を一定時間水に浸漬し、表面の水を拭き取る前後の皮膚含水率を経時的に測定した。測定結果より濡れにより高くなった皮膚含水率は、空気曝露開始とともに急速に減少し、5分浸漬の場合15分~25分程度、10分浸漬の場合30~40分程度で浸漬前の皮膚含水率に近い一定値に戻った。