抄録
日常生活では、様々な強度の温冷刺激を受けて温冷感覚が知覚される。暖かさや涼しさを感じる環境を創り出すことは有用であるが、暖か過ぎたり涼し過ぎたりする環境は不快な環境である。そのため、温冷刺激を知覚し始める温度や温冷刺激を不快と知覚する温度を測定する必要がある。本研究では、異なる温熱環境の地域で生まれ育った被験者を対象に被験者実験を行った。その結果、異なった地域で生まれ育った被験者毎の知覚開始温度差および不快知覚温度差を把握することができた。知覚開始温度差は、冷受容器そのものの感度の影響が大きく地域差は比較的小さくなったが、不快知覚温度差は、環境履歴の影響を受けて地域の違いが大きくなった。