日本病院総合診療医学会雑誌
Online ISSN : 2758-7878
Print ISSN : 2185-8136
症例報告
卵巣成熟嚢胞性奇形腫破裂による汎発性腹膜炎の 1 例
山田 誠人渋谷 俊介三浦 琢磨楠田 和幸伊藤 靖玉手 義久橋本 宗敬佐藤 博子谷村 武宏宇田川 輝久郷右近 祐司杉本 亮石田 和之菅井 有鈴木 雄
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2020 年 16 巻 3 号 p. 160-165

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抄録
症例は 68 歳の女性。下腹部痛を訴え近医を受診し,急性腹症として当院紹介となった。腹部造影CT検査で右下腹部に類円形の嚢胞性病変を認め,内部に不均一な高吸収域を認めた。周囲臓器への浸潤は認めなかったが,腹腔内全体の腹水貯留を認めた。以上より,右卵巣腫瘍破裂に伴う腹膜炎と臨床診断し,緊急手術を施行した。右卵巣腫瘍の穿孔部からは脂肪と毛髪を混じた黄褐色の液体成分が漏出していた。右卵管と右卵巣動静脈を結紮切離し,右卵巣を摘出した。病理組織診断では,重層扁平上皮や多列線毛円柱上皮に裏打ちされた嚢胞状病変で,壁には脂腺,甲状腺組織を認めた。内腔には角化物と毛髪が充満していた。卵巣成熟嚢胞性奇形腫の診断であった。術後経過は良好で,術後第 8 病日に軽快退院した。
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