日本病院総合診療医学会雑誌
Online ISSN : 2758-7878
Print ISSN : 2185-8136
症例報告
難治性起立性低血圧から診断された自己免疫性自律神経ガングリオノパチーの 1 例
山本 賢吉良 雄一(Co-first-author)平峯 智林 武生橋本 侑眞崎 勝久松瀬 大吉良 潤一篠原 啓介筒井 裕之松本 佑慈太田 梓山嵜 奨髙山 耕治池崎 裕昭豊田 一弘小川 栄一貝沼 茂三郎村田 昌之
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2021 年 17 巻 3 号 p. 298-303

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抄録

80 歳代男性。8 年前より発汗異常,5 年前より全身倦怠感やふらつきを自覚するようになった。複数の医療機関にて精査されたが,原因不明であったために当科を紹介受診された。シェロングテストでは起立性低血圧と考えられ,24 時間自由行動下血圧測定では,収縮期血圧 71-215mmHg,拡張期血圧 43-107mmHg と血圧変動が大きかった。発汗検査では下肢を中心に著明な発汗量の低下を認め,MIBG心筋シンチグラフィーでは心筋へのMIBG取り込み低下を指摘されたことから自律神経性ニューロパチーと診断した。対症療法による改善が乏しかったことから,自己免疫性自律神経性ガングリオノパチー(AAG)を疑い,血清抗体検査を追加したところ,抗gAChR抗体α3 ユニット陽性であり,AAGの診断に至った。免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)を施行した結果,自律神経症状は著明に改善した。

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