日本病院総合診療医学会雑誌
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症例報告
伝染性単核球症を伴ったバセドウ病の 2 例
中村 重徳石森 正敏
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2022 年 18 巻 1 号 p. 53-57

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抄録
EBウイルス(Epstein-Barr virus,以下 EBV)による伝染性単核球症(infectious mononucleosis,以下IM)を伴ったバセドウ病の 2 例を経験した。症例 1 ,2 共に 24 歳女性。症例2 は授乳中。両例,甲状腺ホルモン過剰に伴う症状と発熱を訴え,受診。両例,甲状腺肥大と両側顎下部と両側頚静脈外側に累々としたリンパ節の腫大を認めた。初診時,両例共に口腔内には特別な異常は無く,平熱であった。症例 1ではTc甲状腺摂取率は高値,シンチではびまん性の甲状腺腫。両例,甲状腺ホルモン高値,TSH低値,TRAbとTSAb陽性などよりバセドウ病と診断。また両例,EBV抗EAIgGとEBV抗VCAIgM抗体が陽性,かつEBV抗EBNA IgG抗体が陰性であり,EBVの初回感染による IMと診断した。バセドウ病はチアマゾールで加療し,経過中,リンパ節腫大は軽快した。扁桃炎/咽頭炎は初診時認めなかったが,経過中軽度の症状を示した。EBV感染と自己免疫疾患発症との関連がこれまで報告されており,今回の症例ではバセドウ病発症にEBV感染が関与している可能性が考えられた。
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