症例は 42 歳男性。4 年前に気管支喘息を発症し,治療中に喘息症状の増悪や発熱,鼻閉,皮疹,浮腫,下痢と多彩な症状を認めた。末梢血にて好酸球が上昇し,気管支肺胞洗浄中の好酸球増多を認め,病理組織では副鼻腔,皮膚,消化管に好酸球浸潤を認めた。好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis
with polyangiitis:EGPA)との鑑別に苦慮したが,血管炎所見が認められず特発性(idiopathic)好酸球増多症候群(hypereosinophilic syndrome:HES)と診断した。全身ステロイド治療にて一時改善したが,減量に伴い再燃したため,難治性喘息に対し抗 interleukin(IL)-5 抗体であるメポリズマブ 100 mg/4 週を投与したところ気管支喘息に加え HES の病態も改善し全身ステロイド投与が中止可能となった。
EGPA や HES ではメポリズマブ 300 mg/4週の有効性が確認されているが,100 mg/4 週(低用量)の投与でも EGPA に有効であるとの報告もある。低用量でも気道炎症に限らず好酸球増多に伴う臓器障害にも効果があるとが示唆され,HES の病態改善にも有効である可能性があると考えられた。
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