日本病院総合診療医学会雑誌
Online ISSN : 2758-7878
Print ISSN : 2185-8136
症例報告
症状経過を追うことで診断できた特発性急性頚髄硬膜外血腫の1例
知光 祐希 金城 英樹酒井 達也
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2023 年 19 巻 2 号 p. 100-104

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抄録
病院通院歴のない67歳女性が就寝中に突然の後頸部痛と左上下肢感覚障害を発症し当院救急外来を受診した。当初は鑑別疾患として超急性期脳伷塞,大動脈解離,椎骨動脈解離を疑い検査を行ったが明らかな異常は指摘できなかった。診察中に左上下肢麻痺が進行したため,新たに脊髄疾患を疑い頸部MRIを撮像したところ,急性頚髄硬膜外血腫があり症状の原因と考えられた。突然の片麻痺で患者が来院した際には頻度から脳伷塞を疑う機会が多い。急性硬膜外血腫は脳伷塞と症候が類似する疾患として稀に遭遇し,致死率の高さや神経学的予後からも見逃しを避けたい疾患である。後頸部痛や背部痛を伴う脳伷塞様の主訴で来院した患者で,特に進行性の麻痺を認めた際は急性頚髄硬膜外血腫を疑う必要がある。
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