抄録
胸部症状を訴える患者に対して心工コーは頻繁に施行されているが,肺工コーは有用であるにも関わらず十分に活用されていない。
肺工コーの有用性として,まず仰臥位レントゲン写真よりも肋骨骨折や気胸に対して感度が高いことが分かっている。
臓側胸膜が呼吸性に動くのが確認できない場合(lung slidingの消失)は気胸と考える。
肺実質に 7 mm間隔の縦ライン(B7 line)が見えれば小葉間隔壁肥厚を,3 mm間隔の縦ライン(B3 line)
が見えれば胸膜直下のすりガラス陰影を,実質臓器様に描出すれば肺硬化像が存在すると考える。
これらの病変の分布を探ることで肺炎,心不全,ARDSの診断・鑑別が可能である。
肺工コー検査は迅速性と簡便性から救急外来,集中治療領域,往診にと診療背景を問わす有用な検査である。