抄録
電子カルテシステムと連動した認証システムを導入して、 注射業務と内服業務のヒヤリ・ハット報告の量的・質的変化を検討した。 その結果、 薬剤、 患者、 実施者の三点確認による認証システムを導入した、 注射業務のヒヤリ・ハット報告比率は減少し、 認証システムを導入しなかった内服業務のヒヤリ・ハット比率は増加した。 注射業務のリスクレベルではインシデント割合が有意に増加したが、 内服業務では変化はなかった。 ヒヤリ・ハットの発生場面では両者共に 「指示受け」 場面のエラーが最も減少したが、 これは電子カルテシステム導入が人間の作業をコンピューターに 「代替化」 したことにより、 ヒューマンエラーが減少したと考えられた。 特に認証システムの導入により 「異常検出」 機能が強化され、 与薬業務の安全な実施に貢献した。