2010 年 11 巻 1 号 p. 24-30
最近の関節リウマチに対する抗 TNF-α抗体をはじめとする一連の生物学的製剤による治療は従来の概念を一変させるほどの効果を示すが、現在までその使用は一部のリウマチ専門施設に限られる傾向にあり、一般病院や診療所レベルでは副作用の懸念等から普及が遅れている。一部施設のリウマチ外来の混雑は激しくなり、遠方からの通院も患者にとって大きな負担である。これらの問題の解決のため、関節リウマチ循環型地域連携クリティカルパスを考案し、らくらくパス(RACRC-Path:Rheumatoid Arthritis Circulatory Regional Collaboration-Pathway)と名づけた。近隣医療機関を対象とした勉強会を開催し、連携医(かかりつけ医)を選定した。国立病院機構名古屋医療センター(以下、当院)での生物学的製剤導入後は連携医に紹介し、6ヶ月毎に当院を受診して治療効果の判定および副作用チェックを行っている。有害事象の出現に備えて、当院の救急外来や病棟での24時間365日対応の体制を整えた。最近では、連携医の要望によりメトトレキサートをはじめとした従来型の抗リウマチ薬にも使用を拡大した。2007年9月から2008年11月までに14医療機関の33名に本クリティカルパスを適用した。複雑になりつつある関節リウマチ治療や患者意識の高まりに対し、本クリティカルパスの使用により患者の予後の改善と安心を得られると考える。