2010 年 11 巻 1 号 p. 15-23
効率的な病院運営を行う上で経営状況の把握とともに他病院との比較は必須であり、容易な評価・比較方法が必要とされてきた。そこでわれわれは人件費に注目し、人件費をベースとした二種類の指標 RMP(Ratio of marginal profit after personnel cost per personnel cost)とRIP(Ratio of investment per personnel cost)を作成した。次いで両指標を用いて損益分岐点を示し分析可能とした。これらの指標を用い国立病院機構144病院の効率性の評価を試みた。この結果、2004年度RIP<RMPで黒字であった病院は急性期型73病院のうち47病院存在し、このうち最小のRMP値は0.31であった。一方RIPは黒字病院の約95%で0.6未満であり、RIPが0.6を越えた12病院のうち黒字であったのは3病院(25%)にすぎなかった。2008年度の黒字病院のうち、最小のRMPは0.35であった。一方慢性期型71病院の2008年度分析を行った結果、経営が黒字化する最低のRMP値が急性期型では0.35であったのに対し慢性期型病院では0.25であった。
RIP、RMPを用いることで診療形態の異なる病院の評価が可能になると思われた。