日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
東京女子医科大学病院糖尿病センターにおける地域連携への取り組み
加藤 多津子上塚 芳郎内潟 安子下村 裕見子岩本 安彦
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2011 年 11 巻 4 号 p. 241-246

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抄録

 東京女子医科大学病院糖尿病センターは、1975年のセンター開設以来、糖尿病の集学的、先進的治療を目指すと共に、生涯を通じての慢性疾患という特長ゆえ、治療に関しては患者を取り巻くあらゆる環境整備の必要性から地域連携の確立を理念としてきた。無論、大学病院としての本来の紹介型の外来を保つためにも、前方連携も大切であるが、新規患者の受入れ後、そのまま安定した多数の外来患者を抱えていては新規紹介患者を受入れる余裕がなくなることになるため、後方連携が重要である。

 当院糖尿病センターでは開設より、講演会活動でのセンターの紹介、紹介医への Diabetes Newsletter の定期郵送、コメディカル対象の教育セミナー、連携医師との定期的な勉強会開催、連携医師に配布する糖尿病センターあての紹介状書式の工夫、センター医師への逆紹介推進教育、連携医師データベースの作成等の地域連携に対する取り組みを行ってきた。その結果、1995年上半期から2008年上半期までの期間における病院全体と糖尿病センターでの紹介率、逆紹介患者数の推移を検討した結果、紹介、逆紹介ともに糖尿病センターの方が明らかに高かった。

 また、糖尿病センター医師に対して行ったアンケート調査によれば、地域連携の重要性を認識している医師が多かった。紹介率を上げるためには、連携の会の開催が最も効果的であるとの答えが多く、続いてニュースレター、紹介状の工夫が挙がった。逆紹介率を増加させるためには、患者・家族への啓発、詳細な連携医師のデータベース整備、連携医から患者への戻りの説明の3点が指摘された。現在活用中の紹介医データベースリストの活用度は93%と高率であるが、さらなる登録機関数増加、データベース内容の充実を求める声が多かった。

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