2011 年 11 巻 4 号 p. 251-255
東京都内の退院調整部署、退院調整看護師や退院調整担当者の実態を明らかにすることを目的に、アンケート調査を行った。
回答を得た病院のうち70病院84%に退院調整部署が設置され、そのうち96%に Medical Social Worker(以下、 MSW)が、56%に看護師が、27%に事務員が配置されていた。急性期の病院を中心に退院調整看護師の配置が進んでおり、特に急性期の病院では近年医療と生活両面のアセスメントができる退院調整看護師のニーズが高まりつつあると考えられた。
退院調整業務のうち、「意思決定支援のための面談」は、退院調整看護師・MSW 共に多く行っており、医療に関するものは看護師が多く、制度活用や転院支援はMSWが多かった。転院支援はMSWが、在宅支援は退院調整看護師が行っていることが多いと思われるが、在宅支援に関する項目に有意差が見られなかったのは、退院調整看護師とMSWが協働して行っているためと考えられる。
退院調整看護師の共通の課題は、①退院調整システムの構築:院内多職種が協働し効果的に支援できる院内システムと院外の多職種との連携ネットワーク、②院内職員の教育、③意思決定支援スキルをはじめとした退院支援看護師のスキルの向上であることが示唆された。