日本医療マネジメント学会雑誌
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原著
病院での医療原価の推計
— 都道府県立病院と民間病院の比較検討
北澤 健文松本 邦愛瀬戸 加奈子西澤 寛俊徳田 禎久長谷川 友紀
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2011 年 12 巻 2 号 p. 68-74

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抄録

 診療報酬と費用を対応させ合理的な診療報酬体系を構築するためには、診療に要する費用の推計が求められる。本研究では、病院の基本的な経営指標を用いて、入院診療と外来診療に掛かる費用額の算出を試みた。

 調査対象は都道府県立病院と社団法人全日本病院協会会員病院である。都道府県立病院の経営指標は平成20(2008)年度版地方公営企業年鑑から入手した。全日病会員病院は、226病院へ調査協力を依頼し50病院から回答を得た。

 試算には、医業費用の費目別費用額、入院収益額、外来収益額、平均患者数(入院と外来)、職種別職員数と職種別平均給与月額を用いた。医療機関の部門は診療部門(入院と外来)、中央診療部門、間接部門の4区分とし、費目別医業費用を各部門に一次計上した後、階梯式配賦法を用いて配賦した。

 入院患者1人一日当たりの費用額は都道府県立病院42,686円、全日病会員病院27,443円であった。また、外来患者1人一日当たりの費用額は都道府県立病院15,611円、全日病会員病院10,674円であり、いずれも都道府県立病院の方が高額であった。ロジスティック回帰分析の結果から、病床数、平均外来患者数、一般病床利用率、病院区分と収益性との関連が示唆された。

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© 2011 特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
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