日本医療マネジメント学会雑誌
Online ISSN : 1884-6807
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12 巻 , 2 号
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原著
  • — 都道府県立病院と民間病院の比較検討
    北澤 健文, 松本 邦愛, 瀬戸 加奈子, 西澤 寛俊, 徳田 禎久, 長谷川 友紀
    2011 年 12 巻 2 号 p. 68-74
    発行日: 2011/09/01
    公開日: 2020/04/17
    ジャーナル フリー

     診療報酬と費用を対応させ合理的な診療報酬体系を構築するためには、診療に要する費用の推計が求められる。本研究では、病院の基本的な経営指標を用いて、入院診療と外来診療に掛かる費用額の算出を試みた。

     調査対象は都道府県立病院と社団法人全日本病院協会会員病院である。都道府県立病院の経営指標は平成20(2008)年度版地方公営企業年鑑から入手した。全日病会員病院は、226病院へ調査協力を依頼し50病院から回答を得た。

     試算には、医業費用の費目別費用額、入院収益額、外来収益額、平均患者数(入院と外来)、職種別職員数と職種別平均給与月額を用いた。医療機関の部門は診療部門(入院と外来)、中央診療部門、間接部門の4区分とし、費目別医業費用を各部門に一次計上した後、階梯式配賦法を用いて配賦した。

     入院患者1人一日当たりの費用額は都道府県立病院42,686円、全日病会員病院27,443円であった。また、外来患者1人一日当たりの費用額は都道府県立病院15,611円、全日病会員病院10,674円であり、いずれも都道府県立病院の方が高額であった。ロジスティック回帰分析の結果から、病床数、平均外来患者数、一般病床利用率、病院区分と収益性との関連が示唆された。

事例報告
  • 阿部 知子, 山縣 正庸, 安川 朋久, 山口 千恵美, 高澤 弘美, 深尾 立
    2011 年 12 巻 2 号 p. 75-78
    発行日: 2011/09/01
    公開日: 2020/04/17
    ジャーナル フリー

     千葉労災病院では2008年7月より整形外科担当の医師事務作業補助者を導入したが、医師事務作業補助者導入により得られた効果を、業務改善度と医師の業務軽減度について評価検討した。業務改善度の評価では「診断書発行に要する日数」および「退院サマリの完成に要する日数」を導入前後で比較し、医師の業務軽減度の評価では 「医師の時間外勤務時間」 の変化および医師事務作業補助者の業務に対する医師満足度を調査した。「診断書発行に要する日数」は導入前後で平均4.6日から1.4日に短縮し、「退院サマリの完成に要する日数」は導入前後で平均12.9日から4.0日と著明に短縮した。「医師の時間外勤務時間」も一人平均13.2時間/月減少し、整形外科全体では時間外手当が約60万円/月減少した。医師事務作業補助者の業務に対する評価は高く、全体として医師事務作業補助者導入に対する医師の満足度も高かった。医師事務作業補助者導入により、医師の業務負担の軽減が得られるばかりでなく、事務作業が円滑に進むという効果が得られた。

  • 平田 敦宏, 下田 渉, 鈴木 真美, 森本 泰介
    2011 年 12 巻 2 号 p. 79-84
    発行日: 2011/09/01
    公開日: 2020/04/17
    ジャーナル フリー

     病院機能評価 Ver.6受審の準備として、必須とされている臨床指標5項目と、その他6項目の合計11項目についての収集・分析を行ってきた。しかし、病院全体の医療の質を評価するためには、収集する臨床指標をできるだけ増やすことが必要と考え、京都市立病院の事業改革プランや医療機能を踏まえ、他施設の先行事例も参考にして追加収集する項目の候補を検討した。同時に院内の各委員会・部署が独自に既に収集・把握している臨床指標の現状調査を実施し、当院の各委員会・部署で把握している項目、診療情報管理室で把握している項目、医療情報システムからデータを抽出できる項目等、合わせて8領域35項目の臨床指標を収集した。次に「医療の質・安全研修会」と「院内合同研究発表会」を開催し、「当院の臨床指標の実際について」をテーマとして、これらの臨床指標の定義や意義について、院内職員への研修を行った。

  • 中島 誠, 杉山 正
    2011 年 12 巻 2 号 p. 85-89
    発行日: 2011/09/01
    公開日: 2020/04/17
    ジャーナル フリー

     がん化学療法により生じる悪心・嘔吐には、発現リスクに応じた制吐剤の予防投与が有効とされる。国立病院機構長良医療センターでは、制吐剤であるグラニセトロン投与の要否、およびデキサメタゾンの投与量が漫然と設定されていたため、化学療法委員会が中心となりNational Comprehensive Cancer Network(NCCN)ガイドラインに則して制吐剤の見直しを行った。

     院内で登録された呼吸器領域の腫瘍に対する化学療法レジメンにおいて、全22レジメン中14レジメンの制吐剤が変更になった。制吐剤を変更したレジメンにおいて、変更後1年間に投与した制吐剤の薬剤費を、変更を行わなかった場合の試算と比較した結果、年間49.5%の節減効果が得られた。また、制吐剤の変更によりグラニセトロンを削除した3week-ドセタキセル治療レジメンにて治療された肺がん患者を対象に、変更前後1年間における悪心・嘔吐の発現率を比較した。その結果、グラニセトロンの削除により悪心・嘔吐の発現率の増加は認められなかった。

     ガイドラインに則して制吐剤を適切に選択することにより、悪心・嘔吐の発現率を増加させることなく薬剤費の節減が得られ、患者負担を軽減することができた。

紹介
  • −日めくり表示・関連ファイル・共通カルテ−
    平尾 寛子, 藤本 俊一郎, 平井 有美, 山口 美里, 林 周児, 平下 浩司, 渡辺 信之
    2011 年 12 巻 2 号 p. 90-96
    発行日: 2011/09/01
    公開日: 2020/04/17
    ジャーナル フリー

     香川労災病院では2004年のオーダーエントリーシステム導入、2007年の電子カルテ導入に際して医療者に配慮したクリティカルパス作成・運用のために様々なソフトの改良を行った。その結果、現在では504のクリティカルパスが退院患者の95%以上で使用され、クリティカルパスは日常業務に不可欠なものとなっている。

     しかし運用のなかで1)日常使用しているオーバービュー画面ではスクロールしないと記録全体を閲覧できない、2)患者説明用・医療者教育用に使用している文書が個々のクリティカルパスと関連付けられていない、3)オーダーエントリーシステム対象外の指示の記載・伝達が不十分である、などの課題が指摘された。今回これらの問題点を解決するために、それぞれ1)日めくり表示、2)関連ファイル、3)共通カルテの設定を可能とした。これらの設定内容と、設定後の電子クリティカルパスの運用の実際を報告した。

  • 藤本 俊一郎, 平尾 寛子, 平井 有美, 山口 美里, 林 周児, 平下 浩司, 渡辺 信之
    2011 年 12 巻 2 号 p. 97-102
    発行日: 2011/09/01
    公開日: 2020/04/17
    ジャーナル フリー

     香川労災病院では2004年のオーダーエントリーシステム、2007年の電子カルテ導入を経て、医療者に配慮し医療者が使いやすい、電子カルテ・電子クリティカルパスシステム構築のための改善を継続している。最近では医療の質の向上には「チーム医療」の遂行が必須となっている。今回、チーム医療推進のための多職種によるチーム記録を可能とする「チームカルテ」の機能追加を行った。電子クリティカルパスの基本様式の縦項目に、「チーム医療」に関連する項目として栄養サポートチーム(Nutrition Support Team:NST)、皮膚・排泄ケアチーム、感染対策チーム、緩和ケアチーム、呼吸サポートチーム(Respiration Support Team:RST)、退院調整チーム、医療安全チームを追加し、多職種での記載を可能とした。その設定内容を報告するとともに設定後の電子クリティカルパスの実際の運用を報告した。

  • 宮崎 吉孝, 木本 ちはる, 梅尾 さやか, 森 照明
    2011 年 12 巻 2 号 p. 103-106
    発行日: 2011/09/01
    公開日: 2020/04/17
    ジャーナル フリー

     経鼻胃管の誤挿入は重篤な合併症を引き起こすため、栄養投与の前には経鼻胃管の位置確認を行う必要がある。位置確認方法としては、2ステップX線撮影法が推奨されている。しかし、この方法は煩雑な上に被曝の問題があり、日常的に実施することは困難である。北米の2施設からカプノメーターを使った新たな位置確認方法が報告されている。しかし、我が国で実施するためには我が国で入手可能な機材を用いて測定回路を構築する必要があった。本研究では我が国で入手できるカプノメーターおよび経鼻胃管を用いて、確実かつ簡便に経鼻胃管の位置確認ができる方法の開発を試みた。その結果、カプノチェックⅡとサフィード胃管カテーテルの回路では、経鼻胃管先端が下咽頭にあるか、あるいは胃内にあるかを呼気炭酸ガス曲線の有無によって100%の精度で判断できた。接続も容易で測定に要する時間は1分以内であった。この方法は確実かつ簡便で日常的に実施することが可能である。

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