地方の医療は、高齢者の人口比率が高く、医療従事者の都市部への偏在があり、医療提供体制は深刻な状況にある。
このような中で、地域医療を守るためには諸課題を戦略的に克服していく必要がある。第一には、地域基幹病院が医療従事者にとり魅力的なマグネットホスピタル、教育力のある病院へと進化することが求められる。また、臨床的に守備範囲の広いジェネラリスト—総合診療医—の育成に取り組む必要がある。同時に、院内保育所をはじめ働きやすい労働環境の整備や再就職支援など女性医療者を支援する基盤整備が必要である。第二には、医療を支える地域力である。コンビニ受診を抑制するなど地域をあげて医療を守る文化の醸成である。第三はチーム医療・医療連携の推進である。病院の中ではチーム医療を推進し、質の高い医療を提供する。地域においては全域をチームと見なして各医療機関、介護施設などが機能に応じた役割分担をし、シームレスな連携に努める。また、地域連携クリティカルパスの普及を推進し、地域における医療の標準化、医療情報の透明化につとめる。結果として、患者中心の医療体制が構築できると考える。
本稿では、市立福知山市民病院の概要ならびにマネジメントの手法を用いた地域での取り組みについて最近の動向を紹介する。