2011 年 12 巻 3 号 p. 156-160
心筋梗塞の再発予防に関する患者教育の実態を明らかにするために、広島県と大阪府豊能医療圏における病院及び診療所に対して郵送による質問紙調査を行った。調査期間は2010年1月〜3月、質問紙配布数は病院157施設、診療所395施設、病院の有効回答数は31部(有効回答率19.7%)、診療所は168部(有効回答率42.5%)であった。
地域連携クリティカルパスの使用は病院16.1%、診療所14.3%、患者教育実施率は病棟74.2%、病院外来61.3%、診療所59.5%であり、専門スタッフの配置割合は病院よりも診療所が低く、病院では管理栄養士による食事療法、薬剤師による服薬指導、看護師による糖尿病管理の教育が特徴であった。診療所は医師による教育が多く、教育時間は5〜10分程度であった。
病院では在院日数が短く、かかりつけ医に患者をもどすことから包括的な患者教育の実施は少なく、一方診療所では専門スタッフの配置が少なく、医師の診察中による短時間の教育にとどまる状況をみると、再発・重症化予防に向けた教育プログラムが組み込まれた、病診連携を推進する地域連携クリティカルパスの運用が重要で、これにアウトカム評価指標を導入した、医療機関と医療保険者、疾病管理会社等との連携による新たな再発予防システムの構築が必要と考える。