日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
薬剤師の病棟常駐における質的・経済的効果について
真鍋 健一
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2011 年 12 巻 3 号 p. 173-176

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抄録

 九州内28国立病院機構病院において、2008年4月より薬剤管理指導およびがん化学療法の充実のために9病院で薬剤師数が増加し、そのうち2病院で薬剤師の病棟常駐が試みられた。そこで病棟常駐の効果について、経済的効果として薬剤管理指導件数、がん化学療法の無菌製剤処理件数、医療の質的効果として持参薬調査件数、プレアボイド報告件数を指標に、その推移を検討した。まず2病院における病棟常駐前後の比較を行い、次に病棟常駐を行っていない病院との比較を行った。病棟常駐を行った2病院では、2008年3月以前と比べて薬剤管理指導件数(p<0.0001)、持参薬調査件数(p<0.00001)が有意に増加した。1病院ではプレアボイド報告件数が大きく増加(p<0.00001)した。病棟常駐を行っていない病院の、薬剤管理指導件数や無菌製剤処理件数、持参薬調査件数、プレアボイド報告件数に増減の一定の傾向を見出せなかった。薬剤師の病棟常駐は、薬剤管理指導件数の増加という経済的効果と持参薬調査件数やプレアボイド報告件数の増加に見られる質的効果に大きく寄与することが明らかとなった。

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