日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
治験の被験者組入れに関するリードタイム率の予測について
原 司濃沼 政美中村 均吉柳 富次郎増本 陽秀
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2011 年 12 巻 3 号 p. 169-172

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抄録

 治験実施医療機関において、契約した治験の速やかな遂行、すなわち「治験のスピードアップ」は大きな課題である。治験薬搬入日から治験契約終了日までの日数に対する治験薬搬入日から最終被験者組入れ日までの日数の割合(以下、被験者組入れに関するリードタイム率と定義)が治験のスピードを表わす。

 飯塚病院で2003年度から2007年度の間に契約した第III相臨床試験のうち、2008年3月までに終了した治験18件のプロトコールから被験者組入れに関するリードタイム率に影響する治験プロトコールの5因子(選択基準数、除外基準数、検査項目数、治験期間(日数)、治験薬剤形)からなる回帰式:被験者組入れに関するリードタイム率(%)=1.80×選択基準数−1.23×除外基準数−2.16×検査項目数−0.08×治験期間(日数)+剤形ダミー(内・外用剤:5.45/注射剤:−5.45)+68.56を導いた。これら5因子についてF検定でp値を求めたところ、被験者組入れに関するリードタイム率を小さくする条件は、選択基準数が少なく、除外基準数が多く、治験期間(日数)が長く、注射剤であることが判明した。また、新規契約プロトコールの5因子を得られた回帰式に代入することにより、当該治験の被験者組入れに関するリードタイム率を治験契約時に予測することが可能となった。

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