2011 年 12 巻 3 号 p. 186-189
日本医療マネジメント学会に設置されている原価計算委員会では、病院原価計算の今日的課題について整理・検討が行われてきた。そこでは、原価計算の目的が不明確であることや、原価の定義や範囲があいまいなことなどを起因とする、間違った記述や議論の齟齬が生じていることがあげられた。
そこで、当委員会として病院原価計算手法に関する提言が必要との認識のもと、これらの課題についての整理と検討を行った。その結果、病院原価計算の目的に対応した原価対象や原価範囲を設定する必要性があることが考えられる。
特に、病院会計準則に基づく総原価を「医療原価」や「医業管理費」のように区分し、定義したうえで病院原価計算を実施することで、当学会の学会発表や論文において散見される、原価計算に言及する際の理解の齟齬や誤解の減少が期待される。