2011 年 12 巻 3 号 p. 190-194
名古屋掖済会病院では2002年より医療情報連携システム(エキサイネット)運用を開始し継続している。今後、より広く効果的にシステムが活用されることにより、地域医療連携に貢献しかつ患者サービスが向上することを目的としている。エキサイネットを介して閲覧できる医療情報は、診療予約、検査予約、空床状況、オーダー情報(病名、投薬・注射・検査・処置)、検査結果、診療録、観察項目、DICOM 画像、所見レポート、ストリーミング映像、など重要な個人情報である。特に異なる診療所・病院間で医療情報を共有する時、組織母体の違いによる障害やセキュリティ対策に取り組むことが、地域完結型医療を推進する上でもっとも重要事項である。これまで様々な通信方式を試してきた結果、PKI〈Public Key Infrastructure〉-USB、SSL-VPN〈Secure Socket Layer Virtual Private Network〉方式がコスト面と信頼性において優れ、本システムのセキュリティ面を支える重要な因子である。現段階でも地域連携クリティカルパスを円滑に運用していく上で多くの障害を抱えているが、本システムはその障害を克服するための有効な手段と考える。