2012 年 12 巻 4 号 p. 225-228
人工呼吸器に係る合併症や事故は時として致死的であり、安全使用のための知識や技術の修得が必須である。国立病院機構旭川医療センターの障害者自立支援病棟では、神経・筋疾患患者に対して常時10台前後の非侵襲的陽圧換気療法(NPPV:noninvasive positive pressure ventilation)機器が稼働している。そこで、NPPV機器の安全性向上を目的として管理マニュアルを作成し、それを基に当該病棟看護師に対して医療機器(ME:medical equipment)教育を行った。 ME教育実施前2年間に14件だったNPPV関連のインシデントが、実施後2年では1件と減少した。しかし、ME教育を実施してから約2年後に知識・技術を確認する試験を行ったところ、個人正答率および試験問題の正答率が50%に満たないものがあった。この結果から、表面上はインシデントとして発生していなくとも、医療事故が発生する可能性は潜んでいると考えられ、医療事故予防のためには、講習などのME教育と合わせて定期的に知識・技術を確認する試験を実施することが必要と考えられた。