日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
インシデント報告の解析に基づく医療事故対策の有用性の評価
α-グルコシダーゼ阻害薬の朝食直前薬の無投薬
大沢 幸嗣本間 佳子松元 俊
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2013 年 13 巻 4 号 p. 185-188

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抄録

 医療事故削減には、その施設の報告を詳細に解析する必要がある。2008年度の東京逓信病院における薬に関するインシデントでは内服薬の与薬忘れ(無投薬)が最も多かった。無投薬で最も頻度が高かったのはα-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)の朝食直前投与であった。このα-GIの朝食直前投与の無投薬に関するインシデントは看護師の経験年数に依存しておらず、看護師全般の朝食直前に投与すべき薬に対する認識の低さが考えられた。

 そこで、α-GIの朝食直前投与の無投薬の予防対策として、2009年4月から看護師全員を対象にα-GIの適正使用に関する情報提供を行った。

 その結果、α-GIの朝食直前薬の無投薬に関するインシデント数は2008年度に対し、2009年度では90.7%減、2010年度では94.4%減であった。

 このことから、医療事故の対策にはその施設の報告を詳細に解析し、看護師に協力を得ることが非常に有用であることが示唆された。

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