日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
効率的なプレアボイド報告と情報共有システム
松本 恵桑村 恒夫矢川 結香赤松 孝
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2013 年 13 巻 4 号 p. 189-193

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抄録

 プレアボイドとは、薬剤師が薬物療法に関連した患者の不利益を回避もしくは軽減した事例のことである。プレアボイド事例の集積・共有は、医薬品の適正使用や医療安全の観点から重要である。九州厚生年金病院では、これまでプレアボイドを実施してきたが、それぞれの薬剤師が個人的に行っていたため、その事例に関する情報共有ができていなかった。そのため、プレアボイドの事例報告を習慣的に実施し、薬剤部内でその情報を共有するシステムの構築を試みた。

 プレアボイドの事例報告を継続的に実施できるよう薬剤師にアンケートを実施し、報告に係わる負担を軽減するよう運用の検討を行った。2010年6月から12月までのプレアボイド報告件数は129件であった。業務別では薬剤管理指導業務92件、調剤業務33件、回診4件であり、介入の内容は腎機能低下時における過量投与が30件、相互作用・併用禁忌が16件、持参薬から当院処方への切り替え間違いが12件、副作用の早期発見が7件などであった。収集された事例は薬剤師全員にその事例を定期的に報告し、特に重要なものについては院内全体へ周知を行った。

 今回の取り組みにより、すべての薬剤師が調査期間中に事例報告を実施していた。これより効率的なプレアボイドを実施し、その情報を共有するためのシステムを構築することができた。

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