2013 年 14 巻 1 号 p. 14-19
我が国の病院薬剤師916名に対し郵送調査を行い、病院薬剤師の就業に対する基礎データを収集するとともに、転職経験者に共通する傾向について探索した。調査項目は、回答者の個人属性、勤務施設、就業変化などとした。転職の有無に関連する因子を探索するため多重ロジスティック回帰分析を行った。調査票の回収率は52.5%であった。回答者の現勤務先での平均勤務年数は、10.2±9.1年であり、35.3%が転職経験者であった。また、転職経験者の前勤務先は、 薬局が38.8%、病院が35.3%であった。解析の結果、転職経験者ほど、年代が高く、病床数が少ない施設に勤務し、現施設への勤務年数が少なく、専門・認定薬剤師などの資格を有することがわかった。転職経験者ほど、病床数が少ない施設に勤務していた理由は、中小施設ほど中途採用という雇用システムが一般的であること、また専門資格を有していた理由は自立性やキャリア向上の意識が高いことが考えられた。