日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
虚血性心疾患・地域連携クリティカルパスが看護師や医療関係職の患者指導に及ぼす効果
川本 俊治橘高 清奥村 和恵秋月 まなみ松田 守弘田村 律
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2013 年 14 巻 1 号 p. 20-24

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抄録

 虚血性心疾患に対して多くのガイドラインが過去15年にわたり公表されているが、患者教育やカウンセリングの順守度は極めて低いと指摘されている。本研究は虚血性心疾患・地域連携クリティカルパス(liaison critical pathway for coronary artery disease:LCP/CAD)が看護師や医療関係職の患者指導に変化をもたらすかを明らかにする。

 国立病院機構呉医療センターでは2007年から2011年までにLCP/CADを603名に適応した。今回、循環器病棟看護師を対象にLCP/CADの導入時、半年後、2年後、4年後にアンケート調査を実施した。導入時には LCP/CAD の評価は情報共有、指導、治療目標の明確化に有効と評価されたが、疾患の知識、医療関係職の患者に接する機会、患者への積極的な指導、医師の指示、亜硝酸剤服用指導、心臓リハビリテーションの知識は低値であった。運用年数が増えるに従い、医師のLCP/CAD指示の遅れは改善し(p<0.0001)、医療関係職が患者と接する機会が増加(p=0.0006)、患者へ積極的指導が向上(p<0.0001)、疾病知識が向上(p=0.0004)した。看護師は心臓リハビリテーションの知識が向上(p<0.0001)した。

 地域連携クリティカルパスを活用することで、看護師や医療関係職が患者指導に積極的に関わるようになり、看護師や医療関係職の医学知識も向上する。

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© 2013 特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
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