2013 年 14 巻 1 号 p. 25-30
北海道大学病院における2003年度から2009年度までの7年間にわたるインシデントレポートの中から、 看護職によって報告されたものを抽出し、報告者の経験年数、レポート件数、場面などについて分析を行った。7年間で看護職から報告されたインシデントレポート総数は12,798件であった。7対1看護の導入により2007年度に145名の看護職の増員があり、総看護職の増員が22.0%であったのに対し、インシデントレポート件数は33.0%の増加であった。2007年度は総看護職数における1年目看護職数の割合が高く、1年目看護職による報告件数の占める割合が他の年度と比較して高かった。一方、1年目看護職1人あたりの平均年間報告件数の経年変化をみると、2007年度はそれ以前に比べて増加していなかった。看護職の増員は、看護職1人あたりのインシデントレポート件数の減少には繋がらなかった。看護職1年目ではインシデント全体に占める処方・与薬の割合が、2・3年目、4年目以上と比較して有意に大きかった。その内訳では、末梢静脈点滴なかでも投与速度に関するものの割合が、1年目および2・3年目は4年目以上に比べて有意に大きかった。看護職の新人教育においては、新人が関与する可能性の高いインシデントに重点をおいた教育が必要であろう。