2013 年 14 巻 2 号 p. 76-79
インフォームドコンセントに基づいた適切な医療を提供するために、セカンドオピニオン受診が推奨される。セカンドオピニオン受診では、主治医からの紹介状を持参し、受診後は主治医に戻るのが通例であるが、必ずしも原則通りにいかない。そこで、泌尿器科セカンドオピニオンの現状と問題点を明らかにする目的で、調査解析を行なった。
2004年11月より2011年3月までに、東京厚生年金病院泌尿器科のセカンドオピニオン外来を受診した164例を対象とした。患者背景や受診方法、転帰などを集計解析した。
性別は男性155例、女性9例で、年齢は平均68.4歳(33-94歳)であった。患者住所は、東京都90例、千葉県25例、神奈川県13例の順であり、関東で143例(87%)であった。家族のみの受診は8例(5%)、紹介状なしの受診は23例(14%)であった。疾患として、前立腺癌およびその疑いが135例(82%)と最も多く、悪性腫瘍が155例(95%)と大半をしめていた。最終的に元の主治医に戻って治療を受けた例が93例(56%)、当院へ転医した例が37例(23%)、転帰不明が34例(21%)であった。関東以外の患者、 紹介状ありの例、前立腺癌の例で、元の主治医に戻る頻度が高かった。
泌尿器科セカンドオピニオンを希望受診する患者のほとんどは悪性腫瘍とくに前立腺癌であり、治療方針に納得して主治医のもとへ戻る例が多いと考えられた。