日本医療マネジメント学会雑誌
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最新号
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事例報告
  • 健康増進施設と連携した変形性膝関節症トータルサポートチームの結成
    中村 立一, 松儀 怜, 霜下 和也, 飴谷 礼子, 柿田 真弓
    原稿種別: 事例報告
    2013 年 14 巻 2 号 p. 53-57
    発行日: 2013/09/01
    公開日: 2020/10/17
    ジャーナル フリー

     近年、地域連携クリティカルパスやチーム医療の推進が強調されてきたが、医療機関の垣根を越えた連携の報告は少ない。しかし慢性的な整形外科疾患を持つ患者を医療機関だけで抱えていると、患者の心に「医療機関でリハビリテーションをしてもらう」という受動的な姿勢が生まれることも多い。そこで我々は、健康寿命を延ばす「介護予防」実現のために、患者自身が積極的に自己の健康増進に取り組む姿勢が重要と考え、隣接する健康増進施設(いわゆるスポーツジム)と連携したチーム作りを考案した。まず変形性膝関節症をモデルに選択し、2011年8月に変形性膝関節症トータルサポート研究会(team TS-KOA;team Total Support for Knee OA)を立ち上げ、運動指導員・医師・理学療法士が意見交換をしながら運動プログラムを作製した。さらにチームには看護師・栄養士などが加入して総合的な患者指導にあたるとともに、やわたメディカルセンターと健康増進施設の紹介・連絡が円滑に行えるシステムを構築した。これにより、当院からジムへの紹介者数は2010年度71名(51名入会)が2012年度には209名(98名入会)と大幅に増加した。しかし混合診療禁止などの法的制限により、入院患者に対してこのサポートを導入することが困難なことが、現時点における大きな障壁である。医療機関の垣根を越えた連携は介護予防の普及にとどまらず、国が主導する医療費の削減にも有効な新たな連携の形であり、このサポートの有効性を検証した上で行政に働きかける必要があると考えている。

  • 宮﨑 のどか, 近藤 真哉, 古株 哲也, 邨瀬 智彦, 岸上 靖幸, 小口 秀紀
    原稿種別: 事例報告
    2013 年 14 巻 2 号 p. 58-62
    発行日: 2013/09/01
    公開日: 2020/10/17
    ジャーナル フリー

     近年の高齢妊娠の増加に伴い、1割程度であった悪性腫瘍や脳血管障害などの偶発合併症が原因である間接産科的死亡の占める割合が3〜5割と増加している。妊産婦の脳血管障害は、発症頻度は低いものの、発症した場合の母体死亡や神経学的後遺症のリスクは高い。トヨタ記念病院では、子癇発症後に痙攣発作が重積し、無症候性ではあるが脳梗塞が残存した症例を経験した。母体の脳血管障害では妊娠高血圧症候群やHELLP症候群、DICなどの病態を合併することが多く、産婦人科や新生児科だけでなく神経内科や集中治療科、麻酔科、脳外科等と連携し管理を行うことが重要であるが、当院ではその連携の構築が不十分であった。そのため、このような症例を繰り返すことのないよう、新生児科や関連診療科と協議の上、「妊産婦の子癇の管理方針」を作成し、共通の治療方針の下、協力して治療を行える体制を確立した。これらを導入後2例の子癇の症例を経験したが、2例とも後遺症なく治癒した。その導入と有用性について報告する。

  • 実施申告制導入から3年を経て
    山本 栄司, 森本 泰介
    原稿種別: 事例報告
    2013 年 14 巻 2 号 p. 63-67
    発行日: 2013/09/01
    公開日: 2020/10/17
    ジャーナル フリー

     中心静脈カテーテル留置の安全管理を目的として京都市立病院で2009年度に導入した手技実施申告制(事後報告)について、3年間の申告数の推移、各項目の報告内容の経年的変化などをもとに、その効用についての評価を行った。その結果、申告数すなわち実施延べ回数は3年間で有意に減少し、カテーテルのルーメン数の減少・ランドマーク法による穿刺の減少が見られた一方で、マニュアルで禁じている4回以上の穿刺がゼロではなく、同意書の取得率・マキシマムバリアプリコーションの実施率が100%ではないなどの実情も明らかになった。今後手技実施申告制を継続しつつ、マニュアルの周知徹底、手技に関する勉強会やアクシデント発生時の事例検討など、啓発のための取組みが必要であると考えられる。

  • 青山 広希, 宮田 完志, 湯浅 典博, 小林 陽一郎
    原稿種別: 事例報告
    2013 年 14 巻 2 号 p. 68-71
    発行日: 2013/09/01
    公開日: 2020/10/17
    ジャーナル フリー

     ホルムアルデヒド(FA)は皮膚や結膜・気道粘膜への刺激症状や、発癌性など人体に様々な障害をもたらすが、これまで手術標本整理室内のFA濃度には充分な注意が払われてこなかった。2008年3月、わが国では特定化学物質障害予防規則の改正により、FAが特化則第3類物質から第2類物質に変更された。名古屋第一赤十字病院の中央手術室の標本整理室内のFA濃度は規定以上の値であったので、室内FA濃度の低減対策を講じた。FA濃度高値の原因は、1)能動的な排気システムが不足していたこと、2)FA給所と標本整理作業スペースが離れておりFAの限局的な取扱いがなされていないこと、3)標本整理のための作業スペースが狭く、FAを取扱っている時間が長いこと、4)FAを入れる標本収納容器の密閉性が不十分であったこと、などであった。以上に対して次のような対策を実行した。1)FA作業台上に集中排気システムを導入し室内の排気量を上げた。2)FAの取扱いを集中排気システム周囲に限局化した。3)新たに標本整理の作業スペースを確保して、標本整理作業を安全かつ短時間に行えるようにした。4)FAを入れる標本収納容器を密閉性の高いものに変更した。以上の対策により、手術標本整理室内のFA濃度は規定の1/10未満となった。標本整理室内のFA濃度を低減する我々の対策は比較的安価かつ有効であり、労働災害から外科医を守ることに寄与すると考えられる。

  • 電子カルテ導入期と安定期の比較
    阪上 順一, 木村 哲也
    原稿種別: 事例報告
    2013 年 14 巻 2 号 p. 72-75
    発行日: 2013/09/01
    公開日: 2020/10/17
    ジャーナル フリー

     全国に約8700の病院がある中で約800施設ある400床以上のいわゆる大規模病院では、電子カルテ導入が進んでいる。紙カルテから電子カルテに移行する場合、多くの施設では移行期を設けず一期的に移行が行われるため、導入期の混乱により外来が混雑し患者の受診動向が変動する可能性がある。

     京都府立医科大学附属病院は2008年に、受診者の受診抑制策を計画することなく、一部オーダリングシステムの運用から一期的に電子カルテ導入を行った。電子カルテ導入4年後を安定期と考え、導入期と安定期の患者の受診動向を比較検討し、導入期に患者混雑や患者受診動向の変化が発生していたのか後方視的に解析した。

     導入期・安定期ともに外来患者数や在院時間は金曜日が有意に低かった。また、患者数が少ない診療科に受診するからといって必ずしも在院時間が短いわけではなく、受付時刻が遅いほど患者数や在院時間が短いという患者の受診動向に変動はなかった。安定期に比較し導入期では在院時間が有意に増加していたが、外来患者数で補正すると在院時間はほとんど変動していなかった。大学病院の電子カルテ導入に当たっては受診抑制策を取らなくても患者の日内、週内の受診動向にも大きな変動はきたさず、有意な混雑は発生しないことが想定された。

  • 赤倉 功一郎
    原稿種別: 事例報告
    2013 年 14 巻 2 号 p. 76-79
    発行日: 2013/09/01
    公開日: 2020/10/17
    ジャーナル フリー

     インフォームドコンセントに基づいた適切な医療を提供するために、セカンドオピニオン受診が推奨される。セカンドオピニオン受診では、主治医からの紹介状を持参し、受診後は主治医に戻るのが通例であるが、必ずしも原則通りにいかない。そこで、泌尿器科セカンドオピニオンの現状と問題点を明らかにする目的で、調査解析を行なった。

     2004年11月より2011年3月までに、東京厚生年金病院泌尿器科のセカンドオピニオン外来を受診した164例を対象とした。患者背景や受診方法、転帰などを集計解析した。

     性別は男性155例、女性9例で、年齢は平均68.4歳(33-94歳)であった。患者住所は、東京都90例、千葉県25例、神奈川県13例の順であり、関東で143例(87%)であった。家族のみの受診は8例(5%)、紹介状なしの受診は23例(14%)であった。疾患として、前立腺癌およびその疑いが135例(82%)と最も多く、悪性腫瘍が155例(95%)と大半をしめていた。最終的に元の主治医に戻って治療を受けた例が93例(56%)、当院へ転医した例が37例(23%)、転帰不明が34例(21%)であった。関東以外の患者、 紹介状ありの例、前立腺癌の例で、元の主治医に戻る頻度が高かった。

     泌尿器科セカンドオピニオンを希望受診する患者のほとんどは悪性腫瘍とくに前立腺癌であり、治療方針に納得して主治医のもとへ戻る例が多いと考えられた。

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