日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
慢性腎臓病地域連携クリティカルパスを用いた診療システムの2年間のアウトカムとバリアンスに関する検討
塚本 達雄重田 由美米本 智美武曾 惠理
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2013 年 14 巻 3 号 p. 107-112

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抄録

 北野病院において慢性腎臓病(CKD)地域連携クリティカルパスを連携診療におけるアウトカムおよびバリアンスに関しての検討を行い、この連携診療の問題点に関して考察した。2008年12月から2010年12月までに看護師による生活指導と管理栄養士による栄養指導を含む当院の連携診療に参加した患者211例およびかかりつけ医148名を対象として、腎機能悪化予防および心血管イベント予防の2つのアウトカムを検証し、48例のバリアンスを後ろ向きに調査した。この結果、(1)CKD 重症度分類ではステージ G1:36例(17.1%)、G2:43例(20.4%)、G3:71例(33.6%)、G4:51例(24.2%)、G5:10例(4.7%)、年令別では男性では60才代、女性では70才代が最も多かった。(2)G5でも緊急透析導入なく運用できた。(3)連携診療した標榜科は内科系70.4%、外科系その他が29.6%であった。(4)疾患特異的なバリアンスと運用上のバリアンスが発生し他診療科への入院例も認められた。(5)22例の自己中断による脱落が認められた。以上の結果から、バリアンスとその対応の適切性や心血管合併症の発症および重症化の予防効果については、まだまだ不明な点も多いものの、バリアンスを考慮した連携診療のあり方や双方の負担軽減度調査、時間対効果、患者満足度等に関してもさらに検討していく必要があると考えられた。

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