日本医療マネジメント学会雑誌
Online ISSN : 1884-6807
Print ISSN : 1881-2503
ISSN-L : 1881-2503
事例報告
医療安全への患者参加支援プログラム阪大病院「いろはうた」の開発と導入
池尻 朋上間 あおい中島 和江高橋 りょう子團 寛子
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 14 巻 3 号 p. 113-120

詳細
抄録

 大阪大学医学部附属病院では、医療および医療安全への積極的な患者参加を支援し、患者と医療者のパートナーシップ(協働)を推進するため、患者参加支援プログラム阪大病院「いろはうた」を開発し、院内へ導入した。まず、インシデントレポート及び文献に基づき医療安全と患者参加に関わる7項目(①患者確認②転倒予防③日常生活に欠かせないものの紛失予防④自己決定⑤信頼できる人への相談⑥服薬管理⑦自己管理)を抽出した。次に、これら7項目をオリジナルの句とイラストで表現した「いろはうた」ツールを制作した。開発したツールを院内へ導入するにあたっては、看護師用の患者説明シナリオを作成し、一般病棟で2週間の試験的運用を実施し、説明内容の標準化を行った。試行病棟における患者アンケートからは回答者の9割からツールがよい、看護師の説明がわかりやすい、話かけやすくなった等、前向きな回答が見られた。また、全職員が着用する取り組みバッジや院内掲示用ポスターを制作し、医療者への啓発と病院全体で実施するための広報準備を行った。ツールの開発とその導入までは約9カ月を要した。医療および医療安全への患者参加を具体的なツールを用いて表現したこと、標準説明手順を作成し、プログラムの運用方法を追求し、病院全体で取り組んだことが今回の取り組みの大きな特徴である。本取り組みは、2010年6月より本運用として開始、2013年8月現在も継続して実施している。

著者関連情報
© 2013 特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
前の記事 次の記事
feedback
Top