日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
自治体病院における医事業務の委託からの脱却と直営化による効果
里見 ゆか世古口 務堀畑 利治小倉 嘉文
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2014 年 15 巻 1 号 p. 50-53

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抄録

 松阪市民病院は、2008年4月より診断群分類別包括払い方式(Diagnosis Procedure Combination/Per-Diem Payment System;DPC/PDPS)を導入している328床の地方公営企業法、一部適用の自治体病院である。全職員の意識改革により、1989年以来の赤字体質から脱却し、大きく経営改善を達成した。さらなる経営改善を行うために、2010年4月に院長直属の「総合企画室」を設立した。その業務の1つとしてDPC/PDPSにおいて最も重要な部門である医事業務を完全委託から脱却させ、直営化に取り組んだので、その効果について報告する。

 自治体病院では委託費、特に医事業務の委託費が大きいのが特徴である。当院も医事業務の委託費用として年間1億4000万円が必要であり、直営化により運営した場合の経費削減の程度、職員のモチべーションについて検討した。

 医事業務直営化前は市からの職員6人(うち診療情報管理士1人)、委託業者から50.5人であったが、直営化後は常勤職員9人(うち診療情報管理士6人)、非常勤職員48人の体制になった。これにより指揮命令系統の一元化、業務への柔軟な対応、病院職員としてのモチベーションの向上、医事業務への専門特化、医事業務職員の満足度向上、の他、年間約3000万円の経費節減を達成することが出来た。なお当院では医事業務を含め、総勢14人の診療情報管理士(院長、看護部長、看護師長各1人を含む)を擁し、経営改善に努力している。

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