日本医療マネジメント学会雑誌
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総説
インフォームドコンセントにおける同意の意義
最近の下級審判例分析を基に
藤谷 克己長谷川 敏彦
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2014 年 15 巻 2 号 p. 102-107

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抄録

 医療法第1条の4第2号で、医療現場では医療行為を行う際にインフォームドコンセントが法的な義務であるとされた。しかし患者の同意については、形式上何をもって同意があったとするかについて、明確にされていない。そこで関連判例を分析し、判例の中では何をもって患者の同意があったとするかについて調べた。判例データベースの「TKCローライブラリー」(LEX/DB)を利用し、キーワード検索を行った。キーワードは「インフォームドコンセント」又は「説明と同意」を選び、「同意」とその類義語の「合意」と「承諾」を選んで、両群のキーワードにAND検索をかけて判例を抽出した。抽出結果の判例数は128件であった。その全てを精査し、同意について示している20件を表にリストアップした。データベースの判例総数は243,324件で、収録誌数は127誌である(2013年3月23日)。検索した判例数は医療に関係する「インフォームドコンセント」に関するものが125件で、「説明と同意」に関するものが32件であった。また「同意」に関する判例数は22,024件、「合意」に関するものは31,918件、「承諾」に関するものは33,880件であった。最高裁判例では、何をもって同意があったとするかは明確にされていない。ただし、下級審判例においては、同意について示すものがいくつか見られ、同意書への署名捺印をもって同意があったものとするものもある。一方ではインフォームドコンセントを厳格に守ることで、医師の労働量の増加傾向に何らかの影響があるとの示唆もある。

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