薬剤師は病院獲得型MRSA(HA-MRSA)肺炎に対するバンコマイシン(VCM)投与設計に参画しているが、その業務について医療経済的な観点からは評価されていない。本研究ではHA-MRSA肺炎に対して薬剤師主導でVCM投与設計した薬剤師参画群と薬剤師参画のないコントロール群(コントロール群)との間で診療録を基に費用効果分析を行った。薬剤師参画群15人、コントロール群15人で、薬剤師参画群では腎障害発現率0%、期待費用419,088.0円、コントロール群は腎障害発現率13.3%、期待費用485,610.5円となった。費用効果分析から、薬剤師参画群はコントロール群と比較し安全性や費用の点で優位となった。HA-MRSA肺炎に対する薬剤師主導VCM投与設計は、安全性向上と治療期間短縮の観点から医療経済的にも推奨される業務であることが明らかになった。