日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
おひさまネットワークを介した高密度多職種連携の取り組み
末期重症心不全患者の在宅医学管理を通して
鶴田 芳男高野 真希岡村 新一
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2014 年 15 巻 2 号 p. 114-118

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抄録

 慢性心不全重症患者では末期になると、入院環境下でカテコラミンをはじめとする強心薬や利尿薬を持続静注されるケースが殆どであり、患者は病院内での長期療養を強いられ、生活の質(QOL)が著しく損なわれた状況におかれる。しかしながら、これら薬剤の投与量が血行動態の破綻を来さない一定値に保たれさえすれば、自立した療養環境を構築できる患者群が一部存在することも確かであり、患者本人の意向を尊重した在宅での医学管理が実現できる可能性を完全には否定できない。このような患者群が在宅医療を望んだ際、その療養環境を構築する条件として、家族のサポートに加え、高次医療機関や在宅看護・介護施設と在宅診療医との間に、より密度の高い連携が求められる。在宅医療を専門に展開するおひさま会では、「メディカルスタッフ」より構成される「おひさまネットワーク」を外部構築し、スムーズな介護・医療連携に繋がる取り組みを行ってきた。今回、「おひさまネットワーク」が核となり在宅管理を実現し、QOL向上に著しく寄与し得た、寛解・再燃を繰り返すカテコラミン離脱困難な末期重症心不全症例を紹介する。また、「おひさまネットワーク」を媒介とする在宅医療への取り組みの実際についても合わせて報告する。介入困難と予想される重症例に対し、在宅医学管理を実現し患者のQOL向上を目指す為には、従来の枠組みに囚われない高密度な医療連携の構築が急務である。

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