日本医療マネジメント学会雑誌
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原著
大学病院事務職員のキャリア開発支援策への一考察
キャリア・アンカーと企業社員との比較から
坂田 裕介
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2014 年 15 巻 2 号 p. 87-95

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抄録

 DPC/PDPS(Diagnosis Procedure Combination/Per-Diem Payment System)の導入により、病院事務職員の新たな職務能力とその開発支援が求められている。しかし、その施策については企業における施策を倣って導入することがあり、病院事務職員への妥当性や有効性については十分検証されていない。

 本研究は、大学病院事務職員と企業社員のキャリア・アンカー、すなわち最も自分らしく働ける仕事のスタイルを比較し、企業におけるキャリア開発支援策の大学病院事務職員への適応の妥当性について検証した。そのうえで、大学病院事務職員の属性別にキャリア・アンカーとキャリア開発支援策とのニーズの関係性について検証を行い、キャリア開発に資する施策の導出を目的とした。

 研究の枠組みとしては、上記2つの目的ごとに仮説をたて、それを大学病院事務職員と企業社員を対象とした無記名質問紙による訪問留置調査を行い、そこから得られたデータを基に仮説の検証を行い、考察を加えた。なお、106名より有効回答を得た。

 その結果、キャリア・アンカー・カテゴリーは、両者ともに専門・職能別能力(TF)と生活様式(LS)の割合が高く、違いは認められなかった。よって、企業における施策の大学病院事務職員への適応は、妥当であることが確認された。また、自らの仕事の専門性を高めると同時に、家庭と仕事との調和を重視する傾向が認められ、アセスメント、キャリアパス、キャリア相談、複線型人事制度などが有効な施策として示唆された。

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© 2014 特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
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