日本医療マネジメント学会雑誌
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原著
看護師のストレス反応と関連する院内暴力とその環境要因の関係
藤田 茂瀬戸 加奈子北澤 健文芳賀 香代子松本 邦愛長谷川 友紀
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2014 年 15 巻 3 号 p. 171-176

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抄録

 医療者が安心して働ける環境を整備するうえで、患者・家族による院内暴力の現状把握と被害の予防または軽減策の検討が必要である。しかし、院内暴力の詳細な様態は十分に明らかにされていない。本研究では、院内暴力の様態を明らかにするとともに、医療者のストレス反応と関連する暴力行為の様態と、その暴力行為の経験の有無に関連する環境因子を明らかにすることを目的とした。

 2012年2月から10月に、全国の18病院の全職員を対象とした無記名自記式の質問紙法による調査を実施した。院内暴力の様態とストレス反応の関係、および各種暴力の経験の有無と労働環境の関係を、一般化線形混合モデルを用いて分析した。

 院内暴力の様態のうち、「足でけられた」「人格や能力を否定された(ばか、あほ、下手くそなど)」「身体の特徴を馬鹿にされた(デブ、ブス、ハゲなど)」「いわれのない苦情を言われたり不当な要求をされた」「腕や足をさわられた」「性行為を要求された」の6種類の暴力が、看護師のストレス反応と関連していた。また、各々の暴力は、精神科病棟と外来部門、透析部門、夜勤の有無、人手不足感、医療安全の評価と関連していた。

 今後は、各暴力の患者側の発生要因の調査および予防策の検討が必要である。

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© 2014 特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
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