日本医療マネジメント学会雑誌
Online ISSN : 1884-6807
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15 巻 , 3 号
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原著
  • 藤田 茂, 瀬戸 加奈子, 北澤 健文, 芳賀 香代子, 松本 邦愛, 長谷川 友紀
    原稿種別: 原著
    2014 年 15 巻 3 号 p. 171-176
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

     医療者が安心して働ける環境を整備するうえで、患者・家族による院内暴力の現状把握と被害の予防または軽減策の検討が必要である。しかし、院内暴力の詳細な様態は十分に明らかにされていない。本研究では、院内暴力の様態を明らかにするとともに、医療者のストレス反応と関連する暴力行為の様態と、その暴力行為の経験の有無に関連する環境因子を明らかにすることを目的とした。

     2012年2月から10月に、全国の18病院の全職員を対象とした無記名自記式の質問紙法による調査を実施した。院内暴力の様態とストレス反応の関係、および各種暴力の経験の有無と労働環境の関係を、一般化線形混合モデルを用いて分析した。

     院内暴力の様態のうち、「足でけられた」「人格や能力を否定された(ばか、あほ、下手くそなど)」「身体の特徴を馬鹿にされた(デブ、ブス、ハゲなど)」「いわれのない苦情を言われたり不当な要求をされた」「腕や足をさわられた」「性行為を要求された」の6種類の暴力が、看護師のストレス反応と関連していた。また、各々の暴力は、精神科病棟と外来部門、透析部門、夜勤の有無、人手不足感、医療安全の評価と関連していた。

     今後は、各暴力の患者側の発生要因の調査および予防策の検討が必要である。

事例報告
  • 大野 辰治, 瀬戸山 博, 東出 俊一, 目片 英治, 加藤 理史, 水野 敏子
    原稿種別: 事例報告
    2014 年 15 巻 3 号 p. 177-182
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

     2009年4月に組織された滋賀県がん診療連携協議会・地域連携部会のこれまでの活動・成果について、第2期がん対策推進基本計画が示された事を踏まえて振り返ってみた。部会は県下統一版5大がん地域連携クリティカルパスを1年間の議論の末作成し、2010年4月から運用を開始した。議論の中心となったのは滋賀県がん患者連絡協議会、滋賀県医師会、がん診療連携拠点病院から選出された委員であった。運用開始後は周知・啓発を目的に、年2回の県の5大がん地域連携パス研修会、各医療圏で定期的に勉強会が行われている。第1期がん対策推進計画が終了する2013年3月までに、448件の5大がん地域連携クリティカルパスが登録・運用されており、内訳は胃がん196件、大腸がん222件、乳がん19件、肝がん4件、肺がん7件であった。2013年11月末現在では、602件が登録され、胃がん252件、大腸がん305件、乳がん25件、肝がん4件、肺がん9件、前立腺がん7件であった。運用件数には大きな差を認めそれぞれその原因について検討した。クリティカルパスの運用数の動向、県・各医療圏での研修会・勉強会の普及、パンフレットの配布、連携の簡素化などにより、がん医療の地域連携ネットワークは充実してきたと評価している。しかしながら、診療連携という視点では地域格差や施設間格差は構造的なものであり、 短期に是正は不可能である。人的・物的資源の格差や地域での効率的な医療連携や徹底した役割分担などを考慮に入れて、がん医療の地域連携ネットワークを再構築する事が今後の我々の課題である。

  • 出口 貴行, 藤本 俊一郎, 大平 隆博, 塩田 和代
    原稿種別: 事例報告
    2014 年 15 巻 3 号 p. 183-188
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

     香川シームレスケア研究会では2009年1月から脳卒中地域連携クリティカルパスをかがわ医療遠隔ネットワーク(Kagawa Medical Internet eXchange,K-MIX)を用いてデジタル情報での運用を開始した。

     今回、急性期病院から回復期施設に転院後、退院した580名を在宅復帰群(407名)と非在宅復帰群(173名)に分類し、両群での日常生活機能評価をもとに、在宅復帰のための日常生活動作(Activity of Daily Living,ADL)を分析し、下記の結果を得た。

     1 .両群ともに回復期施設退院時の生活自立度は急性期病院退院時よりも有意に高かった。

     2 .急性期病院退院時、回復期施設退院時ともに在宅復帰群の生活自立度は非在宅復帰群よりも有意に高かった。

     3 .日常生活機能評価の項目別の検討で、急性期病院退院時では「認知項目」、「寝返り」、「起き上がり」、「座位保持」、「食事摂取」が高く、回復期施設退院時にはさらに「移乗」、「移動方法」、「口腔清潔」、「更衣」も改善していた。

     今回の検討で急性期病院退院時に「認知項目」、「寝返り」、「起き上がり」、「座位保持」、「食事摂取」などのセルフケア項目の自立度が保たれていれば、回復期施設でさらなる向上が期待できることが明らかになった。急性期病院での看護・ケア・リハビリテーションではベッド上動作、食事摂取などの生活動作の自立度向上に留意すべきであると思われる。

  • 佐藤 真弓, 西野 善一, 片倉 隆一
    原稿種別: 事例報告
    2014 年 15 巻 3 号 p. 189-192
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

     2000年から2008年に宮城県立がんセンターで初回診療を受けた院内がん登録症例のうち2012年以降の生存状況が不明な3,499名に対し生存確認調査を行った。方法は、全国220市区町村への住民票照会および本籍地照会であり、死因を把握するために法務局への死亡診断書の記載事項証明の交付請求も実施した。調査による生存状況の判明率は住民票照会で99.3%であり、その後の本籍地照会で判明率は0.5%上昇し99.8%となった。交付手数料は、住民票照会で963,150円、本籍地照会で221,000円を要した。住民票照会では、ほとんどの市区町村は手数料を支払うことにより交付に応じたが、4市と1区からはいかなる理由でも地方独立行政法人への交付を拒否するとの回答で照会に応じなかった。また、交付に応じた市区町村でも対応や要求される書類、資料は様々であり個別の対応を必要とした。そのため多くの労力と時間を必要とし住民票照会のみで約3ヶ月を要した。しかしながら、国からの公的証明書を添付した本籍地照会では、労力および調査期間は大幅に短縮され調査期間は約1ヶ月であった。このことから、市区町村に対する住民票照会では、法的根拠もしくは行政機関からの通知等があることで、調査期間の短縮が図られ円滑な調査が実施できると考えられた。

  • 小松 順子, 白川 秀子, 小川 敦子, 中村 美央, 高島 幹子, 南園 佐知子, 長谷川 仁志, 伊藤 登茂子, 浅沼 義博
    原稿種別: 事例報告
    2014 年 15 巻 3 号 p. 193-196
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

     新人看護師教育の問題として、卒前・卒後教育の乖離、看護技術習得レベルの低下、教育担当看護師の若年化と負担増加、指導看護師間の教育内容のばらつきなどが挙げられている。これらの問題を解決するためには、指導法・評価法を標準化した教育の連鎖を推進していく必要がある。そこで、「標準採血法・薬剤調製・点滴静脈注射」の3つの手技について、独自に客観的臨床能力試験(OSCE)テキストを作成し、その実施を試みた。さらに、OSCE実施前後でアンケート調査を行い、看護部OSCEの評価を行った。

     57名の新人看護師に対して、実技演習後とOSCE実施1ヶ月後の自己評価習熟度を比較したところ、薬剤調製においてOSCE実施後が有意に高得点であった。また、採用時より6ヶ月後と10ヶ月後に、「標準採血法」実施のための8つのポイントに沿った、手順遵守率自己評価を行った。OSCE実施群と前年度のOSCE未実施群を比較すると、6ヶ月後の手順遵守率自己評価では、「患者と採血管の照合(p=0.003)」と「駆血し穿刺部を確認し採血(p=0.024)」で、OSCE実施群の有意性が示された。一方、10ヶ月後の手順遵守率自己評価では、両群間の差は認められなかった。

     したがって、看護部OSCEは、新人看護師教育における指導法・評価法を標準化することができ、早期学習効果ならびに学習効果の持続に有効であると考えられる。

  • 野中 小百合, 藤井 進, 森田 茂樹
    原稿種別: 事例報告
    2014 年 15 巻 3 号 p. 197-202
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

     本邦では2025年を頂点とした高齢化の急激な進行が社会問題の一つとして挙げられる。取り分け医療費は今後も伸び続けることが見込まれ、国民皆保険の堅持のためには、必要な医療を確保した上で医療資源の効率化を図ることが重要となる。また佐賀大学医学部附属病院においても高齢者は増加傾向にあり、最多疾患のひとつに虚血性心疾患がある。

     本研究では当院の虚血性心疾患の施術による違いから、死亡率、入院回数、総在院日数、総医療費の現状を調査し、医療費の効率化に向けた対策について考察した。

     当院のDPCデータ2008年7月から2013年8月までの虚血性心疾患症例を抽出し、経皮的冠動脈形成術実施群(PCI群)と冠動脈バイパス術実施群(CABG群)に分類した。更にPCI群は1回実施群、2回実施群、3回以上実施群に分類した。

     PCI群とCABG群の2群間ではCABG群の方が在院日数は長く、医療費は高い結果であったが、PCIを3回以上実施した群とCABG群では死亡率、在院日数、医療費に有意差はみられなかった。

     必要な医療の確保の指標を死亡率とした場合、PCIの方がCABGよりも在院日数、医療費において効率的であることが示唆された。しかしPCIを3回以上繰り返す症例において効率性は認められなかった。よって施術の違いに医療資源の効率性を求めるよりも、包括ケア病院との連携や在宅医療の強化が有効な対策となるだろう。

  • 井上 光朗
    原稿種別: 事例報告
    2014 年 15 巻 3 号 p. 203-207
    発行日: 2014/12/01
    公開日: 2021/07/29
    ジャーナル フリー

     医師会病院の医業収支に関連する要因を把握・特定するため、医業収支比率を従属変数とし、病院経営管理指標を独立変数とする重回帰分析を行った。医師会病院の医業収支は、患者1人1日当たり入院収益(室料差額を除く)、医師1人当たり入院患者数、材料費比率、医師1人当たり外来患者数と密接な関係にあることが確認された。また、医業収支比率が相対的に高い医師会病院では、材料費比率、患者1人1日当たり入院収益(室料差額を除く)に加えて、人件費比率との関連が強く、材料費や人件費の抑制と入院診療単価の向上が医業収支の改善に寄与することが示唆された。一方、医業収支に関連する要因は看護体制や病床規模によって異なることが明らかになった。

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