日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
公的病院ウェブサイトの情報アクセシビリティ評価
北海道の特定機能病院を事例として
大場 久照
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2015 年 15 巻 4 号 p. 261-266

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抄録

 本研究では公的病院の一つである特定機能病院のウェブサイトのJIS X 8341-3:2010に基づくウェブアクセシビリティと医療情報へのアクセシビリティを検証することを目的とする。

 北海道の特定機能病院の2013年12月1日現在のウェブサイトのトップページを対象とした。ウェブアクセシビリティの検証ツールにはmiCheckerを用いた。評価は総合評価(0〜3点)と知覚可能、操作可能、理解可能、頑健性の項目別評価(0〜100点)に加え、各項目で問題ありと判断された箇所を評価した。さらに、医療情報(セカンドオピニオン、がん手術・治療実績)へのアクセシビリティも調査し、JISに準拠する大阪大学医学部附属病院のウェブサイトと比較検証した。

 総合評価は札幌医科大学附属病院2点、北海道大学病院1点、旭川医科大学病院0点でJISに準拠していなかった。項目別評価では理解可能と頑健性については3病院とも高評価であったが、北大と旭川医大では知覚可能と操作可能の評価が顕著に低く、その原因はページ内の画像に対する代替テキストがないことであった。セカンドオピニオンの情報は札幌医大にはトップページにメニューがあったが、他の3病院はトップページにメニューがなく情報到達までに時間を要した。がん手術・治療実績の情報は4病院とも掲載されていなかった。

 北海道の特定機能病院のウェブサイトはウェブアクセシビリティの問題に加え、医療情報へのアクセシビリティにも問題のあることが示唆された。

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