2017 年 17 巻 4 号 p. 202-207
本研究では北海道の21のがん診療連携拠点病院ウェブサイトを事例に情報アクセシビリティを検証することを目的とする。ウェブサイトでのウェブアクセシビリティ基本方針の公表状況を調査した。miCheckerを用いてJIS X 8341-3:2010の一般的原則である知覚可能、操作可能、理解可能および頑健性の4原則に基づき各0〜100点でトップページのウェブアクセシビリティを評価し、JIS達成等級Aの25項目に基づく詳細分析により問題ありの箇所を抽出した。次に2つの医療情報(セカンドオピニオン、がん手術・治療実績)の有無と到達するまでの経路を調査するとともに、公的な医療情報サイト(北海道医療機能情報システム、がん情報サービス)へのリンク状況も調査した。その結果、ウェブアクセシビリティ基本方針を策定・公表している病院はなかった。操作可能と知覚可能が全体的に低評価であり、特に知覚可能の「非テキストコンテンツに対する達成基準」に関する問題が7割弱を占めた。がん手術・治療実績の情報はセカンドオピニオンの情報に比べ情報量が少なく情報到達までに時間を要するとともに、9病院でがん手術・治療実績の情報がなかった。北海道医療機能情報システムまたはがん情報サービスにリンクを張っていたのは各4病院であった。北海道のがん診療連携拠点病院ウェブサイトの多くは住民(特に、障害者・高齢者)視点のウェブコンテンツでないことが示唆される。