日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
特定抗菌薬届出率向上を目的とした病棟業務の有用性の検討
笹野 央
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2017 年 18 巻 3 号 p. 196-199

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抄録

 順天堂大学医学部附属順天堂医院では、2008年8月より広域抗菌薬を対象に特定抗菌薬使用届出制度を開始した。2012年度に病棟薬剤業務実施加算(以下、病棟業務)が新設され、薬剤師の病棟業務時間の確保により医師へ届出書の提出を促す体制をとった。今回、病棟業務開始前後の特定抗菌薬使用届出率(届出率)および抗菌薬使用密度(AUD)を比較して、病棟業務による届出率の推移、およびAUDの変化に対する影響について検討した。届出率は病棟業務開始前の平均55.8%から、開始後の平均93.1%へ顕著に増加した。AUDではキノロン系が減少し、カルバペネム系が増加した。結果、病棟業務は、届出率向上に有用であることが示された。更なる抗菌薬の適正使用を推進するためには、患者個々における使用状況に薬剤師が介入する必要があると考える。

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