日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
地方圏にある地域包括ケア病棟の看護師が行う在宅療養支援の事例報告
前川 一恵
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2018 年 19 巻 1 号 p. 24-29

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抄録

 日本の医療提供体制には地域格差があり、在宅看取り数や平均在院日数に地域間の差異が見られている。医療介護資源の少ない地域は、看護師が行う在宅療養支援は試行錯誤の状態であることが推察されるが、その現状は明らかにされていない。本研究で、地方圏の中で医療介護資源の少ない地域にある地域包括ケア病棟(以下、包括病棟)で、看護師が取り組む在宅療養支援の現状について事例報告する。

 地方圏の3県3病院の包括病床で在宅療養支援を行っている看護師3名に、半構造化面接を行い、質的帰納的に分析した。その結果、【今後の療養継続に向けた早期介入】【ADL促しと介護者へのケア指導】【多職種による進捗状況の評価】【円滑な連携を考えた情報提供】【患者・家族の持てる力での在宅療養を見守る】【家族に現状を受け入れてもらう関わり】【上手く今後の療養継続に向ける支援】【在宅療養支援の実践力向上】【今後の在宅療養支援への思案】の9カテゴリーが抽出された。

 包括病棟はADLの低下した高齢者が多く、在宅復帰に向け準備期間を取りつつ、入院の長期化による弊害を防止しなければならない難しい在宅復帰支援である。そのため、看護師は院内多職種や地域のケアチームと協働しながら在宅療養支援を行っており、多職種連携が重要であることが示唆された。

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