日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
時間外選定療養費導入の効果
石橋 悟
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2018 年 19 巻 1 号 p. 20-23

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抄録

 東日本大震災を契機に救急車搬送患者だけではなく軽症含む直接来院患者も集中するようになり重症患者に対する集中した医療資源投入が困難な状況が続いたため、2015年10月時間外選定療養費2700円(消費税200円を含む)の徴収を開始した。時間外選定療養費導入の効果を検討したので報告する。

 時間外選定療養費導入後2015年10月から2016年9月まで1年間と導入前2014年10月から2015年9月まで1年間の救急患者について患者数を比較した。

 時間外総救急患者数は26629名から22597名と15.1%減少、時間外直接来院患者数は22155名から18118名と18.2%減少した。時間外救急車搬送患者数は4474名から4477名とほぼ変わらず、時間外入院患者数は3449名から3365名と2.4%減少した。急性上気道炎はそれぞれ3116名、2435名で約21.9%減少し、急性胃腸炎はそれぞれ1649名、1214名で約26.4%減少した。支払い拒否患者はいなかった。

 時間外選定療養費の導入により入院患者は維持しつつ、軽症患者を中心に時間外救急患者数を約15%減少することができた。

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