日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
患者相談支援室運営状況からみた多職種連携の必要性
吉谷 遼子山田 舞室岡 明美村上 弘子橋本 真琴水元 一博
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2018 年 19 巻 1 号 p. 7-10

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抄録

 2012年度の診療報酬改定において、患者と医療者のコミュニケーションを円滑に行うことを目的とした患者サポート体制充実加算が加えられた。九州大学病院でも、これに伴い患者相談支援室(以下、 支援室)を設置した。相談の初期窓口は専任の医療ソーシャルワーカーが担当するが、相談内容が複雑多岐に渡るため多職種連携が必要である。そこで、相談に対応するための院内連携の方法や重要性を検証した。

 2015年5月から10月までに受け付けた相談を集計し内容を分析したところ、相談内容は医療に関することが大半で、次に苦情・意見が多かった。医療に関する相談は、症状や治療に関する相談など専門的な知識を問われる相談が殆どで、苦情・意見についても医療ソーシャルワーカーだけでは対応困難な相談が多かった。そこで問題解決のためには、医療ソーシャルワーカーから他部署へ協力を依頼し、多職種が連携することが必須だということが明らかになった。

 苦情の多くは、患者・医療者間の意思疎通に起因しており、相談に懇切丁寧に対応することが医療訴訟の減少や患者満足度の向上に繋がる。より迅速に、より適切に患者相談に対応するためには、窓口となる医療ソーシャルワーカーのスキルアップも、継続して検討すべき課題である。

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