日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
多職種検討会による夜間外来に繰り返し受診する患者に対する個別的支援の試み
石倉 愛青山 直善中村 元美川谷 弘子左右田 哲田邉 聡
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2018 年 19 巻 1 号 p. 11-15

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抄録

 夜間内科診療の質の向上と労務負担の軽減を目的として、夜間外来診療に特化した救急内科が設立された。以前は、輪番制の当直医がその場限りの個別対応に終始していたが、夜間内科診療の医師が固定されたことから、患者(家族)の社会的背景に配慮した支援を必要とする症例が繰り返し夜間外来に来院していることが判明した。このような症例を支援するため、精神科医師を含めた多職種による患者支援検討会を開始した。この検討会により、職種間の情報共有と連携を推進させるのと同時に、当該患者の状態を精神科医師から病態や疾患としてとらえるべきかなどの助言をもらい、第三者的立場から患者の現状や治療を客観的に判断し、医療従事者の実施すべき方策を具体化して地域を含めた介入職種の対応方針を統一させることが可能となった。社会的に複雑な背景をもつ患者であっても、検討会の合議による一連の支援の実施と継続的なフォローが、介入している医療従事者のストレスを軽減し、患者に必要な疾患特異的な治療の実施を導き、患者の回復とともに医療従事者としての喜びを分かち合える症例もでてきた。今後の人口動態や疾病構造の変化に伴い、多職種検討会による個別的な患者支援を充実させていく必要がある。

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