日本医療マネジメント学会雑誌
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事例報告
総合機能評価への取り組みによる成果
甲斐 幸子
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2018 年 19 巻 2 号 p. 115-118

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抄録

 急性期病院における退院後の介護サービス等を見越した取り組みの評価として「総合評価加算」の改定がなされた。A病院では、2008年の診療報酬改定で新設された、後期高齢者総合評価加算の算定を行っていなかった。そのため、総合機能評価の導入により、入院前から退院後の生活を見越した介入を行うことで患者家族が安心して退院することができ、早期在宅復帰が可能になると考えた。また、この取り組みを確実に実施することで、総合評価算定件数が増加し経営に貢献できることを目的とした。確実かつ早期に計画が実行できるようプロジェクトチームを立ち上げ様式・活用方法を検討、研修会を開催しフロー図による情報共有を図った。使用後も問題点・不明点には即時に対応し、その都度正しい活用方法の説明と活用しやすいチェックシートへの様式変更を行っていった。その結果、患者の退院支援に対する問題点が明確化し、早期退院調整が実施できた。また、医療ソーシャルワーカー(以後 MSW と記す)や退院調整看護師の介入の有無が明確となり、入院前から総合機能評価を行うと同時に、家族構成や既往歴・生活歴などのデータベースの聴取も行ったことで、病棟看護師の業務負担の軽減にも繋がった。また、2014年11月に開設された術前支援センターにて予約入院患者に入院前から関わる事で、退院支援の必要性を入院時から予測することが可能となりよりよい退院調整へと繋げることができた。

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